星に願いを

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 ド派手に失恋をかました私は、とぼとぼと、夜道を一人歩いていた。
 吐く息が、ふわっと白く染まって消える。鼻がツンと痛いのは、寒さのせいだけじゃない。
  
 ふと空を見上げると、流れ星がまたたいた。
 そうか、今日はなんとか流星群の日だっけ。
 できるなら、彼氏と一緒に見たかったなあ……。
 
(流れ星に、願い事を三回言うと、叶うんだよ。)
 そんなことを思い出して、私はとっさに口ばしった。

「彼氏が欲しい彼氏が欲しい彼氏が欲し」
 瞬間、空がキラッと光った。目の前が光に覆われまっ白になる。

 徐々に目が慣れてくると、ぼんやりと、人の形が見えてきた。
 私の好きな、細くて、背が高くて……。

「やあ」
 顔が、☆型の。

 そうか、彼氏が「ほし」までしか言えなかったから。

「ほら、これで涙拭いて」
 そう言って、彼はハンカチを差し出してきた。

 結局、私は彼と付き合うことにした。
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公開:19/07/15 16:25
流れ星

やぎ太郎( 牧場 )

紙ではなく文字を食べて吐き出すヤギです。

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