YELLOW PARADE &19

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そこらの平民では中々入店出来ないような、そんなリッチなレストランにて。
今宵。タキシードを着た一人の青年が、お客様の周囲を徘徊中。
7,8人程が座る丸テーブルに目星を付け、爽やかな笑顔で語りかける。

「お客様、素敵な余興はいかがでしょう?」

多少のお酒が入った紳士淑女は大喜び。喜んで余興を依頼するものだ。

青年は微笑み、準備開始。といっても数秒。丸テーブルの外に垂れているテーブルクロスを掴むだけ。

かくし芸で有名なテーブルクロス引きだ。
上の食器を落とさず、敷かれているテーブルクロスだけを引き出す。

場に走る、心地よい緊張。

青年は幅広くクロスを持ち、呼吸を整え、

一気にクロスを引く。

吹っ飛ぶ食器類。

吹っ飛ぶ食事類。

響き渡る悲鳴。


悲鳴を背後に、青年、颯爽と退場。

退場しながら思う。
明日は上手くできれば良いなぁ。
青年は常に希望を忘れない。

【余興】
その他
公開:19/07/13 03:07

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