開帳

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「もらったんだけど、使う?」
買い物帰りに渡されたのは、レジ袋に無造作に突っ込まれた、エコバッグだった。
荷物詰める時にくれたら良いのに。そんな気遣いをこの人に期待するのは、愚の骨頂と言うものだ。開封済みでないだけ、まだ今日は救いがある。
「絞りバッグ……珍しいね」
片手を広げたサイズのバッグは、布に搾り加工がしてあって、引っ張ると伸びる。手を放すと縮む。ちょっと面白い。
「丁度、頭一個くらい入りそうだろ」
ほら、多少見直せばこれだ。相手にすれば付け上がる、反応しないのが一番。
「こういうのってさ、きれいに伸ばしたくなるよな」
口端に薄ら笑いを乗せ、物置から発掘した生物の資料集を捲る。付箋を貼ったページには、展開された腸管とショッキングピンクの絨毛断面図。私はリクエストのモツ煮をまな板の上で支度しながら、包丁の腹に映る顔が、ニットの裾とスカートの境目へ切り込む、メスの様な視線を感じている。
恋愛
公開:19/07/12 12:01
更新:19/07/12 12:03

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。

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詩集
君に伝えたかったんだ。

いつも本当に、ありがとうございます!

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