THE GAME
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朝の満員電車で、ひときわ大きな声が響いた。
「あ、ちょっと!俺のサンダル!」
脱げたのか?声のした方を見やると、逆の方向からも…。
「5-7-3の8!」
突然の声に、周りの乗客たちはぐっと腰を落とした。ように見えたので、とりあえず私も真似をしてみる。
「やべ。え、まじ」
サンダル男は遠慮がちに、言葉尻に抗議の色を滲ませる。が、我々は聞く耳など持たない。むしろ男にぐいぐい体重をかけていく。
ふと足元を見ると、前方からサンダルが回ってくる。間違いない。皆、チームメイトなんだ。私はサンダルを思いきり後方へ蹴り出した。
よしっ!
駅に着くと、今度はサンダルが一直線にホームを飛んでいくのが見えた。と、ここでホイッスル。電車はまた動き出す。
ドア上のモニターにハイライトシーンが流れている。何度見ても美しい、私の絶妙ヒールキック…が突然ぼやけた。
「あ、ちょっと!俺のメガネ!」
「あ、ちょっと!俺のサンダル!」
脱げたのか?声のした方を見やると、逆の方向からも…。
「5-7-3の8!」
突然の声に、周りの乗客たちはぐっと腰を落とした。ように見えたので、とりあえず私も真似をしてみる。
「やべ。え、まじ」
サンダル男は遠慮がちに、言葉尻に抗議の色を滲ませる。が、我々は聞く耳など持たない。むしろ男にぐいぐい体重をかけていく。
ふと足元を見ると、前方からサンダルが回ってくる。間違いない。皆、チームメイトなんだ。私はサンダルを思いきり後方へ蹴り出した。
よしっ!
駅に着くと、今度はサンダルが一直線にホームを飛んでいくのが見えた。と、ここでホイッスル。電車はまた動き出す。
ドア上のモニターにハイライトシーンが流れている。何度見ても美しい、私の絶妙ヒールキック…が突然ぼやけた。
「あ、ちょっと!俺のメガネ!」
その他
公開:19/07/13 23:15
400字って面白いですね。もっと上手く詰め込めるよう、日々精進しております。
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