THE GAME

11
11

朝の満員電車で、ひときわ大きな声が響いた。

「あ、ちょっと!俺のサンダル!」

脱げたのか?声のした方を見やると、逆の方向からも…。

「5-7-3の8!」

突然の声に、周りの乗客たちはぐっと腰を落とした。ように見えたので、とりあえず私も真似をしてみる。

「やべ。え、まじ」

サンダル男は遠慮がちに、言葉尻に抗議の色を滲ませる。が、我々は聞く耳など持たない。むしろ男にぐいぐい体重をかけていく。

ふと足元を見ると、前方からサンダルが回ってくる。間違いない。皆、チームメイトなんだ。私はサンダルを思いきり後方へ蹴り出した。

よしっ!

駅に着くと、今度はサンダルが一直線にホームを飛んでいくのが見えた。と、ここでホイッスル。電車はまた動き出す。

ドア上のモニターにハイライトシーンが流れている。何度見ても美しい、私の絶妙ヒールキック…が突然ぼやけた。

「あ、ちょっと!俺のメガネ!」
その他
公開:19/07/13 23:15

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容