さよなら!街の恋人たち

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あの街にいた頃は何度もやり直せた。最悪な気分のゴミみたいな日曜を、燃やして無くす事が出来たから。
初めて火を点けたのは初デートで失敗した五月の夜。気まずい雰囲気で出た二人の油汗を垂らして着火すると、ジワジワと燃え広がった。それからフォークギターを持った俺に彼女が寄り添い、キャンプファイヤーになった。
恋人同士になった翌週からも燃やし続けた。重い雰囲気の二人から溢れ出たのは、メロドラマ並にドロドロした重油だった。それだけ愛も重かったって事さ。だから油の成分が変わった時は衝撃だった。オイルショックだ。
俺は梅雨明けにボロアパートを出て、彼女を連れ出し街を後にした。環境を変える事が重要だと思ったからだ。親父から譲り受けた白いディーゼル車があって助かったよ。皮肉にも、軽油しか出なくなった二人には最適の車だった。
そうやってここまで辿り着いたわけだが、ここは火金が燃える"ゴミの日”だったんだな。
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公開:19/07/13 23:06
更新:19/07/14 01:40
楽曲お題シリーズ 第五弾

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