飛んでいった折り鶴

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それはある午後の教室で起こった。
入院しているクラスメイトに、折り鶴を折ろうということになっていた。
僕たちは、慣れないながらに必死に折り紙を折っていた。
鶴が目標の半分ほど出来上がった時、僕は異変に気づいたんだ。
出来上がって手元に置いている折り鶴達が小刻みに揺れている。
最初は地震なのかと思ったけれど、地面は多分揺れていない。
そんなことを思っていると、折り鶴が窓に向かって一直線に飛んで行った。
それだけでもびっくりしたのに、僕の鶴だけじゃなくてみんなの鶴も同じように窓から飛び出して行ったんだ。
やがて鶴達は彼方へと飛び去っていった。
先生は、このことを風のせいだと言ってみんなをなだめた。
だけど、僕は折り紙がただの紙から解放されるのを待っていたように思えるんだ。
僕たち子供と同じように。
ファンタジー
公開:19/07/13 22:13

田坂惇一

ショートショートに魅入られて自分でも書いてみようと挑戦しています。
悪口でもちょっとした感想でも、コメントいただけると嬉しいです。

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