いい夢の見方(金曜日のレシピ)

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 金曜日夜の日課。
 ココアに昨日の素を溶かす。
 他には、二本足のバクがくれたバニラシロップ。
 月狂兎の育てた苺。
 妖精の泉に晒したミント。
 隠し味に、彼と初めてのキスをした思い出の砂糖をひとつまみ。
 あとは、弱火で二分、煮込むだけ。

 雨がしとしと降る音を聞きながら、コトコトと音を立てる小さな鍋を見つめながら、冷えるキッチン台に頬杖をついて時が過ぎるのを待つ。
 飲み終えて、暖かいベッドに入って眠りに就けば、きっと優しい夢を見られる。
 彼の夢を見られるかな。
 そんな事を考えて、ふふっと一人笑い、私は胸を躍らせた。
ファンタジー
公開:19/07/13 20:59
日常 不思議 幻想

宇津木健太郎( 我楽多街 )

優しい世界の話。
遥かなる宇宙の話。
夏の陽だまりの中の話。
世界を覆い尽くす青空の話。
あなたの隣に居る私の話。

そんな、日常から宇宙の果てまで存在する、不思議で空想的な話を紡いでいきます。

時々ホラーも書くかも知れないけれど。

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