幸せの鍵

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昔々、とある国に神様が現れました。
「この箱を開けた者の願いを叶えよう」
そう言って、宝箱を置いていきました。

まず駆け付けたのは鍵職人です。
「私に開けられない鍵はない!」
豪語する職人を宝箱は拒絶しました。

1年経っても鍵を開けられる職人は現れませんでした。
神様はヒントをあげることにしました。
「鍵はこの国のどこかにある」

国民は家中の鍵を持ってきては宝箱に差し込みました。
中には鍵っぽいからと木の枝を差し込む者まで現れる始末。
いつしか宝箱は人々の欲望という名の手垢に塗れ、その輝きを失い始めました。

ある時、一匹の猫が宝箱に近づきました。
そして自らの先の少し曲がった尻尾を宝箱に差し込みました。
宝箱は簡単に開きました。
神様は猫に聞きます。「君の願いは何だね?」
猫は答えました。「暖かな陽だまりと美味しい食事。あと健康であればそれで十分です」
神様は猫の願いを叶えました。
ファンタジー
公開:19/07/13 18:33

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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