蒸れる群れ

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世の中は乾いていた。汗すら乾いていた。直接会話することもなく触れ合うこともなく、多くの人はSNS越しに会話することに慣れきっていた。
俺たちはそんな世の中に反抗するように、いつも群れて蒸れていた。俺たちの発する熱い蒸気は、世の中に潤いをもたらした。
群れることによって蒸れる。それは次第に大きなムーブメントとなり、俺はドライな時代に湿り気をもたらす時代の寵児としてもてはやされ、やがて蒸れ教の教祖にまで祭り上げられた。
蒸れ教の信者は増え、ドライな人間を群れに引きずり込み蒸れさせる末端の信者が現れる等、社会問題にもなった。
蒸れは正義。蒸れは幸せを呼ぶ。
その日も群れ蒸れで盛り上がり、我々は最高潮だった。
「パパ臭い」
調子に乗っていた俺の目を覚ましたのは娘の一言だった。蒸れは臭い。嗅いでいていたのに臭わないフリをしていた。俺は心を改めた。

蒸れても無臭。「無臭ムレムレ」はこうして生まれた。
その他
公開:19/07/11 20:56
スクー 蒸れる社会問題

むう( 地獄 )

人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。

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