『雨の独り言』 一人立ち

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一人立ちしてしばらく経った。
ようやく身なりも整い、一人で食べて行けるようになり広い土地を気ままにうろうろ、自由を満喫していた。
でも、一人の自由はひとりぼっちでもあった。
我がままなモノだが、時に寂しくも感じる。
こんな雨の降る日は特にそんな風に思う。
灰色の空がノスタルジィを誘う。
子供の頃は、沢山の兄弟と戯れて泳ぎ回った。
そこから巣立ったことに後悔はないしカエルことはない場所という訳でもないが、皆と一緒だった時間が、一人の今にしみ入る。
そう思って、一人笑う。
いや、岩に染み入るのはミンミン鳴く蝉だけれど……と。
そんな風に、雨の中で独り言の冗談を言って、ケロケロ鳴いた。
すると、ケロケロと、鳴き声が返ってきた。
ケロケロゲコゲ。
それは次第に大きくなる。
ゲコゲコゲコ……ゲコゲコゲコ。ゲコゲコゲコゲコ、クワックワックワッ。
雨の中、一人ではない大合唱に、そのカエルは笑顔でないた。
ファンタジー
公開:19/07/11 20:32

とーしろさん

はじめまして~。
いつだって初心で、挑戦者のこころでぶっ込みたい素人モノ書きです。

沢山の方々に支えられ、刺激を与えられ、触発されて今日ももちょもちょ書いております。
一人だけでは生み出せないモノがある。
まだ見ぬステキな創造へ、ほんの少しずつでも進んでいきたい。

ショートショートというジャンルに触れる切っ掛けをくださった、
月の音色と大原さやかさんを敬愛し感謝しております。

興味をもって読んでくださる全ての方にも、ありがとうございます~^^

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