幼馴染届

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今夜はヤケ酒だ。
職場で唯一の非婚仲間だった同僚が結婚したのだ。お相手は幼馴染だという。
「お前も幼馴染のひとりやふたり、いねぇの?」
そんな事を言われても、俺に幼馴染はいない。振り返ってみると、つまらない幼少期だ。
あぁ、せめて幼馴染との思い出くらいは欲しかったなぁ、という思いが巡った。
「今からでも、いかがですか?」
いつの間にかバーカウンターの隣に座っていたオッサンに声を掛けられた。
「今から? なにを?」
「幼馴染との思い出、です」
「どういう事だ?」
「こちらを」
そう言って差し出されたのは一枚の紙切れ。
「幼馴染届?」
「婚姻届みたいなものですね。必要事項の記入をすれば、晴れて幼馴染です」
「へぇ。わりと面白そうだな」
そういうわけで、幼馴染届を書いた。
「ところで……」俺はふと疑問に思った事を口にした。「相手は?」
オッサンがニタリとして、俺に寄り掛かった。
「もちろん……」
ミステリー・推理
公開:19/07/11 12:45
更新:19/07/11 12:49
幼馴染届 スクー

壬生乃サル

まったり。

2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)

壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

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