青色が目に滲みる

思わず、天を仰いだ。
雲量0。快晴。気温30℃。
九回裏ツーアウト満塁。最高で最低なシチュエーション。何もかも絵の具で描いた様な鮮やかさ。フルスイング。
白球は高く、高く、飛んだ。

誰もが、その行方を追って空を見た。
スローモーションだった。全てが。
世界の音が一瞬消えた。

ぽかんと口を開けたままの俺達。
最後のランナーがホームを踏みしめたときには、もう動けなかった。
最初で最後の冗談みたいなホームラン。

太陽はジリジリと俺達を焼く。空を見上げると目が痛い。
サヨナラ逆転負けだった。
鮮やかすぎる青が目に滲みるから。
そういうことに、しておきたい。