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一目惚れ。
出会いは、東京へ行ったとき。
暑い夏の日だった。
彼女の歌声が聴こえてきたんだ。
合唱だろう。いくつもの声が重なっている。
なのに、彼女の声だけが耳に飛び込んでくる。
透明感があって、涼やかで。
汗で張り付いたシャツに、風が心地よく流れ込んでくる気がした。
ハンドタオルを手に、誘われ歩く。
東京に井戸があるなんて。
こんな環境下に?
今は、耳だけを頼りにするしかない。
たいして歩いていないはず。
気づけば寂びれた建物の前。
ここだ。
あつい。
汗を拭きながら指差していた。
彼女を確認したから。
「すいません。彼女をください」
唐突に何を、と思ったろう。
だがしかし、すぐに返事がもらえた。
「この子? いいよ」
笑顔で取り外してくれた。
チリーン。
ああ、この声だ。
彼女には、頬を染めた色の鬼灯が描かれていた。
僕は、夏になるたび彼女の歌を聴く。
軒下で揺れる彼女の歌を。
出会いは、東京へ行ったとき。
暑い夏の日だった。
彼女の歌声が聴こえてきたんだ。
合唱だろう。いくつもの声が重なっている。
なのに、彼女の声だけが耳に飛び込んでくる。
透明感があって、涼やかで。
汗で張り付いたシャツに、風が心地よく流れ込んでくる気がした。
ハンドタオルを手に、誘われ歩く。
東京に井戸があるなんて。
こんな環境下に?
今は、耳だけを頼りにするしかない。
たいして歩いていないはず。
気づけば寂びれた建物の前。
ここだ。
あつい。
汗を拭きながら指差していた。
彼女を確認したから。
「すいません。彼女をください」
唐突に何を、と思ったろう。
だがしかし、すぐに返事がもらえた。
「この子? いいよ」
笑顔で取り外してくれた。
チリーン。
ああ、この声だ。
彼女には、頬を染めた色の鬼灯が描かれていた。
僕は、夏になるたび彼女の歌を聴く。
軒下で揺れる彼女の歌を。
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公開:19/07/12 01:52
文章を削る練習をしています。
妄想は得意。感想は苦手。 ・・・・・・です。
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