パープル・バブ

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押しに弱い私は、訪問販売員の巧みな話術にハマり「パープル・バブ」という名の入浴剤を買わされた。
普通の入浴剤の約十倍のお値段。一体どんな効果があるのやら。
夜になり、その入浴剤をお風呂に入れてみた。驚いた。小さな我が家の風呂が、海と化したのだ。
潮の香りが風呂場を包み込み、湯船から波の音が聞こえる。
これは、とんでもないものを買ったのかもしれない。
私はとりあえず、湯船につかってみた。気持ちが良い。せっかくなら、と私は息を止め潜ってみた。
ゆっくり目を開けると、そこには美しい景色が広がっていた。
紫ががった世界。揺れる珊瑚礁。癒しの空間。

「バカヤロー!」
その怒鳴り声に目を覚ます。血相を変えた夫が私の肩を抱いていた。
「どうしたの? 青い顔して」
「お前は紫色だ! 頭パーなのか!」
夫がプルプルと怒りに震えている。
あぁ。私、お風呂に潜っていたんだっけ。時を忘れて息止めたままだったわ。
その他
公開:19/07/11 23:46
時を忘れたパープル スクー

壬生乃サル

自由きままに、気の向くままに。
サルも木から落ちる・る・る~。

壬生乃サル(MIBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

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