はなをかむ

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「鼻かんでいい?」
そう聞いてきた妻に『いいよ』と伝えると、突然大きな口を開けて襲いかかってきた。慌てて突き飛ばすと、グルルと唸り声をあげて暗がりに隠れてしまった。以来、話し合いの余地もなく俺は妻に狙われ続けている。
「全く訳が分からない」
避難先の友人宅で俺は頭を抱える。鼻なんか勝手にティッシュでかめばいい。何か妻を怒らせるようなことをしただろうか。憔悴した俺に友人は同情してくれた。
「とにかく休めよ。そうすればいい案が浮かぶ」
有難い。隙があれば妻が牙を剥いて襲いかかってくる日々の中で俺の精神はボロボロだった。
ソファに横たわり、目を閉じる。ここなら妻もいないはずだ。久しぶりにゆっくりできる。
「グルルル」
馬鹿な、あり得ない。そう思いながら目を開けると、妻がいた。まさか友人が手引きを?そんな、あいつに限って……。
「鼻、かんでいいって言ったよね」
妻が、俺の『鼻』目掛けて牙を剥いた。
その他
公開:19/07/11 22:40
更新:19/07/12 15:52
猟奇的な奥様

風月堂( 札幌 )

400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw

いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。

『枇杷の独り言』
ショートショートコンテスト『家族』最優秀賞頂きました。

写真は全て自前でやっています(笑)

こちらで写真を紹介、ハガキにと販売しております!
https://minne.com/@sakoyama0705  - ハンドメイドマーケットminne(ミンネ)

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