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こいつは一体誰なんだ?!
一人飲んでいたら、馴れ馴れしく話しかけてきてカウンターの隣の席に座ってきた。小学校の時の同級生だという。確かに話は俺の記憶と一致している。しかし、申し訳ないがこいつのことは思い出せない。
話のうまさにつられて杯が進む。ま、いっか。
が、しかし、そいつが席を立ったところで幼馴染届アプリを起動して検索してみた。やはり該当者はいない。しまった! あいつトイレに行くとか言って先に帰りやがったんだ。俺に会計を押し付けたんだ!!
慌てて席を立ったところでそいつが戻ってきた。
「あれ、帰るの?  検索したって僕のことは出てこないよ。僕だってお前のことなんか登録してないよ」
話しながらそいつは胸元を開いて、大きな醜い傷痕を見せた。
「まだ、思い出せないのか? 僕のこと」
そいつは凄んで問い詰めたが、此の期に及んでも俺は全く思い出せなかった。
背中に冷たい汗が一筋、流れた。
その他
公開:19/07/11 22:31
schoo 幼馴染届

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