相合傘

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「天気予報の嘘つき」
突然の雨に、傘のない私が校舎で立ち尽くしていると、折り畳み傘を手にしたノリ君がやって来た。
「これ、貸そうか?」
ノリ君とは付き合い始めて半年。まだ手を繋いだ事も数えるほどしかない。
「ノリ君はどうするのよ」
「走って帰るさ」
「だったら一緒に帰ろうよ」
「そ、それって……」
もう、照れ屋さんなんだから。
「相合傘♪」

ノリ君と初めての相合傘。それだけで胸が高鳴る。
でも折り畳み傘は小さい。私がなるべく濡れないようにしてくれているせいで、ノリ君の肩はびっしょり濡れていた。
今日は肌寒い。風邪でもひかせちゃ大変だ。私は傘をノリ君の方に少しズラした。
私ならちょっとくらい濡れても大丈夫よ。だってノリ君は太陽のような人。いつも私を温めてくれるから。
「ノリ君、大好き」

それ以来、ノリ君は相合傘に取り憑かれてしまったようだ。
この前の雨の日なんて、私の傘を隠してまで……。
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公開:19/07/11 21:55
相合傘廃人 スクー

壬生乃サル

まったり。

2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)

壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

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