猫神社

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「ちゅう太郎、猫神社に行くぜ」
「ちゅう吉、お前はネズミだから猫に食べられるぞ」
「神様の前で殺生はできないさ。猫神社に参ると願い事が叶うと、この家の爺さんが話していた。賽銭がいるよな」
ちゅう吉は、台所の机に小銭が置いてあるのを思い出した。机の上へ移動し、五円玉の穴に前歯を引っかけた。
 ちゅう吉は、猫神社に着くと拝殿に向かった。拝殿の奥では、狛猫が本殿を守っていた。ちゅう吉は顔を振って、前歯に引っかけていた五円玉を、賽銭箱へ投げ入れた。ちゅう吉は、目を閉じ願い事をする。五円玉が落ちる音で狛猫の足元で寝ていた黒猫が目を覚まし、ちゅう吉めがけて走ってきた。激痛が襲い、ちゅう吉は気を失った。
「毎日、ネズミを一匹食べられるようにという願いが叶いました。ありがとうございました」と黒猫が本殿に向かってお礼を述べた。
 ちゅう吉の願い事は、猫に食べられませんようにだった。願い事は、先着順のようだ。
ホラー
公開:19/07/09 23:19

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