寝子

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仕事を終えて帰宅した僕を出迎えもせず、彼女はいつものようにソファで丸まって寝ていた。
「ただいま」の声に首を持ち上げてチラッと僕を見ると、ソファの上で「んーー!」と大きく伸びをして、そのまま再び眠り始めた。
まるで眠ることが彼女の仕事のようだ。
外で夕飯を済ませてきた僕は冷蔵庫からビールを取り出し、彼女の身体を少し押しのけてソファに腰かけた。ふわっとした細い毛を指先で弄ぶ。
彼女が足で僕をぐいっと押してきた。うっすら目を開けて、不満そうな視線を向けてくる。
腹が減ったのか。
ピンクの深皿にご飯をザラザラと入れて出してやる。
彼女が食事をする間、僕はシャワーを浴びた。
髪を乾かして布団に入ると、彼女もソファを離れて僕の腕の中に潜り込み、本格的に寝に入る。
本当に寝てばかりだな。
彼女の背中に手を回す。薄いシャツ越しに背骨がコリコリとあたる。クセになるこの感触。
僕も次第に眠りの世界に落ちた。
青春
公開:19/07/09 22:08

ケイ( 長野 )

ショートストーリー、短編小説を書いています。
noteでも作品紹介しています。​​
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テーマは「本」と「旅」です。

2019年3月、ショートショートコンテスト「家族」に応募した『身寄り』がベルモニー賞を受賞しました。(旧名義)
2019年12月、渋谷TSUTAYAショートショートコンテストに応募した『スミレ』が優秀賞を受賞しました。
2020年3月、ショートショートコンテスト「節目」に応募した『誕生会』がベルモニー賞を受賞しました。

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