猫が繋いでくれた

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ただ何となくだった。
近所にペットショップができた。以前彼女が「結婚したらペットを飼いたい」と話していたのが、頭にあったのかもしれない。
僕は、ふらりと立ち寄った。

「こちらの猫ですか?」
一目惚れ、というのだろうか。
猫好きだという女性店員の話を上の空で聞いていた。
それから足繁く通うようになった。その店員と話をしているうちに、随分と猫にも詳しくなった。

「猫?」
彼女は部屋に来るなり言った。僕の膝では、猫が丸くなっている。
近頃、2人で過ごす時間がめっきり少なくなっていた。彼女も不機嫌そうだった。
「もしかして飼うの?」
僕は、こくりと頷いた。
これで大丈夫。
「私言ったよね。酷い猫アレルギーだって」
なあ、と猫が鳴いた。彼女は、キッと睨みつけると、黙って部屋を出て行った。

結婚式当日。
友人たちの質問攻めに、僕は照れながら答える。
「ペットショップで出会ったんだ」
その他
公開:19/07/10 22:58

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