一緒に

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淹れたてのコーヒーを飲みながら、夕暮れを眺めていた。この時間になると、私は決まって彼女のことを思い出す。

遠い前世の記憶。私と彼女は愛し合っていた。身分違いの恋には障壁があったが、それはさらに愛の炎を燃え上がらせた。しかし、だからといって叶うものでもなかった。神様は、残酷だ。

「生まれ変わったら、一緒になろう」

それを合言葉に、二人は湖へ身を投げた。来世への希望を胸に。

…コーヒーを持つ手が震え、頭がぼんやりしてきた。あぁ、そろそろやってくる頃か…。


…また飲みかけのコーヒー。ブラックは嫌いなの。私は流しにそれを捨て、冷蔵庫からオレンジジュースを出した。

夕方から朝は私の時間。一緒になろう、ってこういうこととはね…。でも、体が女だったのは不幸中の幸い。私は今を生きていく。

さぁ今日は彼氏とデート。出かけなきゃ。あぁ、この体、いつか独り占めできたらなぁ…。

神様は、残酷ね。
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公開:19/07/10 12:15
更新:19/07/14 09:59
54字の物語リメイク

makihide00( 鳥取→東京→福岡 )

30代後半になりTwitterを開設し、ふとしたきっかけで54字の物語を書き始め、このたびこちらにもお邪魔させて頂きました。

長い話は不得手です。400字で他愛もない小噺を時々書いていければなぁと思っております。よろしくお願いします。

Twitterのほうでは54字の物語を毎日アップしております。もろもろのくだらない呟きとともに…。
https://twitter.com/makihide00

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