花と猫と海と、新生活へと

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「ごめんよ」
枯れてしまったサボテンを燃やして、灰にした。
花が咲いたことに喜んで、水をあげ過ぎてしまった。
全うできなかった生はぼくのせいではあるが、花まで咲かせてくれたのは僕のおかげともいえる。

「ごめんよ」
死んでしまった猫を燃やして、灰にした。
酔っ払ったぼくは、猫にもアルコールを与えてしまった。
ベランダから落ちた猫は死んだ。
光の宿らない瞳は、不健全かもしれないが美しかった。

ペットボトルに半分ほど汲んできた海水に、サボテンの灰と猫の灰を混ぜた。
シェイクすると命を弄んでいるようにも感じるが、あくまで抜け殻だ。
ぼくは背負っていく。責任はぼくにある。
しょっぱさに耐えながら、ぼくはペットボトルの中身を飲み干した。
思い出が波状のように、ぼくの中を駆け巡る。

清算できるとは思えない。
人を殺すのと、サボテンを殺すのと、猫を殺すのと、違いは何か。

ぼくたちはまた旅に出る。
青春
公開:19/07/10 00:59
新生活 キマイラ

undoodnu( カントー地方 )

構成の凝った作品が好きです。
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