毛繕い

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 年配の女性マリーに飼われている猫の名はミミ。マリーが飲むコーヒーの香りが漂う居間で、ミミは毛繕いするのが日課だ。
「ミミや、今日もお手入れかね」とマリーが声をかけた。
ミミは、しっぽを大きく左右に何回も振り返事をした。
 しばらくすると、ミミは立ち上がりマリーの膝に飛び乗った。マリーがミミの顔をなでると、ミミは目を閉じて気持ち良さそうに喉を鳴らした。そしてミミはマリーの膝掛けを前足でゆっくりとかき、舐め毛繕いを始めた。

「最近、マリーを見ない」とマリーの家の玄関で、近所の人達が口々に言った。警官に続いて皆が家の中に入ったが、マリーはどこにもいない。
「神隠しだ」と皆が騒ぎだした。
「何か聞こえる」とひとりの男が言った。警官が音がするクローゼットを開けると、毛布で毛繕いしているミミが。その毛布で何か大きなものがくるまれていた。警官が毛布を引っ張ると、ミミは飛びおり、皆の悲鳴が響き渡った。
ホラー
公開:19/07/08 22:05

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