あなたの猫は

　Ｎ氏は、有名な猫探偵の元を訪れていた。
「なるほどなるほど。あなたの探している猫は･･･そうですね、奇跡の折れ耳が超キュート、人懐っこくて甘えん坊、まさに猫界のアイドル・スコティッシュフォールドですね！」
「違います」
「なるほどなるほど。それではアレだ、コンパクトかつ控えめボディ、アーモンドの瞳になめらかな毛並み、まさに猫界の小さな妖精・シンガプーラでどうだ！」
「違いますけど」Ｎ氏は必死に訴えた。
「うちの猫は路地裏で拾った、まさに「ザ・雑種」って感じの子で、ほとんどない引きちぎったようなポンポン鍵しっぽ、ピンクの鼻は鼻クソ付き、四本脚すべてがちぐはぐソックス、気に入らないご飯は即嘔吐、私の顔面で平気で屁をこき吐息も臭い、キジ白柄のトロ丸です！」その言葉を聞き、探偵は頷いた。
「正解！　実はもう捕まえてあるのです」
　こうして無事、Ｎ氏は愛猫と家路に着いた。