宝猫
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一艘の漁船が、大海原を航行していた。
「おい、あれ!」
それは、先日の嵐で大破した船の残骸に必死にしがみく、一匹の子猫だった。
全船員が一丸となって救出、ようやく子猫がか細い鳴き声を発した時、仁王立ちした強面の船長が一言、呟いた。
「かわいいな」
猫は、たちまち海の男たちのアイドルになった。辛く厳しく退屈だった船上での生活は、オスの三毛猫ジムのおかげで薔薇色となった。
再び訪れた、ある嵐の夜。船は突如、正体不明の生物に襲われた。誰もが死を覚悟した瞬間、ジムがさらなる化物に変化したかと思うと、謎の生物を退治してくれた。
限りなく黒に近い雲が晴れた時、ジムの姿はもう船上になかった。ただ、船員がジムに贈った鈴付きの首輪だけが残されていた。
以来、静かな航海の夜には、時折子猫の甘い鳴き声のような鈴の音が聴こえてくる。
「おい、あれ!」
それは、先日の嵐で大破した船の残骸に必死にしがみく、一匹の子猫だった。
全船員が一丸となって救出、ようやく子猫がか細い鳴き声を発した時、仁王立ちした強面の船長が一言、呟いた。
「かわいいな」
猫は、たちまち海の男たちのアイドルになった。辛く厳しく退屈だった船上での生活は、オスの三毛猫ジムのおかげで薔薇色となった。
再び訪れた、ある嵐の夜。船は突如、正体不明の生物に襲われた。誰もが死を覚悟した瞬間、ジムがさらなる化物に変化したかと思うと、謎の生物を退治してくれた。
限りなく黒に近い雲が晴れた時、ジムの姿はもう船上になかった。ただ、船員がジムに贈った鈴付きの首輪だけが残されていた。
以来、静かな航海の夜には、時折子猫の甘い鳴き声のような鈴の音が聴こえてくる。
ファンタジー
公開:19/07/08 21:29
更新:19/07/09 19:55
更新:19/07/09 19:55
猫
二森(ふたもり)ちると申します。
人生の節目に、二つ目の名前をつくりました。童話や小説などはこの名で執筆しています。
怪談やホラー系は「鬼頭(きとう)ちる」名義で活動しています。
どうぞよろしく。
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