236. 君の食べてる表情(かお)が見てみたい。

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妻とは見合い結婚だった。
婚礼の席で白無垢姿の妻は、料理にも酒にも殆ど手をつけなかった。それは仕方のないことだったので当時は特に何も思わなかった。
あれから3年──。
料理は上手いが、食べる姿は恥ずかしくてけっして見られたくないという妻とは未だに外食を一度もしたことがない。
そして家での食事姿も見られたくないと言うので、結婚早々、ラーメン屋にある一人用のついたてとソックリなものを、リビングのテーブルの、妻の座る席の前と左右に作ってやった。
食べる瞬間にはその中に顔をすっぽりと入れるのでいつもどんな表情(かお)で食べているのかこちらからは全く見えない。
その上、自分は偏食が酷いからといつも別のメニューを食べているのだ。あぁ覗きたい…。
今夜は食べ始めてすぐに、そのついたてからゴロゴロと何なのか区別のつかない音が聞こえてきた。気になる…。
俺は慎重に耳をそばだて、いつもの犬まんまを食べた──。
ミステリー・推理
公開:19/07/09 20:00
更新:19/07/09 20:02

ことのは もも。( 日本 関東 )

日本語が好き♡
18歳の頃から時々文章を書いています。
短い物語が好きです。
どれかひとつでも誰かの心に届きます様に☆
感想はいつでもお待ちしています!
宜しくお願い致します。

こちらでは2018年5月から書き始めて、2020年11月の時点で300作になりました。
これからもゆっくりですが、コツコツと書いていきたいと思います(*^^*)

2019年 プチコン新生活優秀賞受賞
2020年 DJ MARUKOME読めるカレー大賞特別賞受賞
2021年 ベルモニー縁コンテスト 入選

 

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