自分勝手

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私はメンタルが弱い。何でもないことで落ち込み、家に帰ると暗い部屋で涙する。
この仕事…私には向いていないんだ…明日、辞表を出そう…
私はのろのろと机の上に置いてあるペンを取ろうとした。しかし私の指先に触れたのはふさふさした尻尾だった。
飼い猫が私を心配そうに見つめる。
『大丈夫か?』
そう言っているに違いない。
猫は口に猫じゃらしを咥えている。
『辛いことは忘れ、遊ぼうではないか。楽しいぞ。俺が』
キリっとした眉毛が私の目の前に広がる。
まったくもう…遊んだら、辞表書くからね。
そうして猫じゃらしを振ること数十分。…何だかどうでもよくなってきた。
この子だって毎日のように叱られているではないか。それでもめげずに毎日こうして私のところにやって来る。
犬は飼い主に似ると聞くが、飼い主は猫に似ると聞く。
私も自分負手ではなく自分勝手になろう。もう少しだけ、やりたかったこの仕事を続ける決意をした。
公開:19/07/08 18:48

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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