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カーテンを冷たい風が揺らしている。もう夜逃げをする時間になった。
借金取りやヤ○ザからじゃない。"夜”から逃げるということだ。
夜に捕まれば夢に取り込まれる。友達や先輩、先生までもが夢の住人になったまま戻ってこない。おかげで自習の時間が増えて寝放題だけど。
空が段々と暗くなる。夜の手がそこかしこから伸びてきた。俺は彼女の手を引き、窓から外に飛び出すと、ネオンで彩られた街を走り回る。
まるで鬼ごっこか、かくれんぼ。それは不思議と幸福を感じる時間。本当に夢のようだ。
やがて夜を千切りながら昇ってきた太陽が、僕達を照らした。今日も逃げきってやったぜ。
彼女の手から体温が伝わってくる。そうだこれは夢なんかじゃない、いや夢よりもずっと!
「ううん、同じ。いつかは醒める儚いものだよ」
「えっ……」
「捕まえた」
彼女の影に化けていた夜の切れ端が、俺の体に強く抱きついた。
ファンタジー
公開:19/07/08 16:53
更新:19/07/11 23:05
楽曲お題シリーズ 第三弾

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