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かつて世界にはネコという生き物がいたらしい。毛だらけで目が鋭く光り俊敏で、それでいて柔らかくて気ままで人の寵愛を何千年にも渡って受けてきたという。
そんなのおとぎ話だってみんなは言う。
ぼくはネコが実際にいたという学者のはなしを全面的に信じている。
サルベージ隊が北泥土の底で中身の入っていない塗装の剥げた旧世界の缶詰をみつけた。ネコ研究者はあれがネコカンだという。ネコカンは人工的に作ったネコ用の食事といわれている。
ぼくが思うに…ネコはキメラみたいな人造生物だったんじゃないかな。だからわざわざネコカンなんてネコ専用の食べ物が必要だったんだ。使役としてでなく、愛されるための人造生物!
きっとネコがいなくなったから、憎しみが世界を覆っているんだ。もしネコがいたら、ぼくたちはこんな戦争をやっていないはずだ。
防衛ライン上のキメラたちから、悲鳴のような思念パルス波が絶え間なく脳に流れてくる。敵だ。
その他
公開:19/07/09 15:30
更新:19/07/09 18:54

世界最強かに決定戦( 沼 )

かにです。あの頃のぼくたちが見た葡萄は酸っぱいにちがいない。

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