オーネコロン

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「これなどお薦めです」
と言われ、仕事を頑張ろうとドラッグストアで「オーネコロン」を買った。
見た目は花の香りのオーデコロン、けれども体にひと吹きすれば、手のひらに乗せてもまだそれが広く感じられるほど小さな猫が現れる。体にコロンが吹きかけられた者にしか猫は見えない。

仕事が辛いとき、人間関係に悩むとき、猫たちの香箱座りやあくび、すりすり、尻尾振りなどにより私はずいぶん慰められた。
が所詮はコロン、猫はやがて揮発して消えてしまう。

オーネコロンを吹きかける回数が徐々に増えた。
一つの香りに一匹の猫が対応しているため、異なる香りを同時に使いたくさん猫を呼び出すようにもなった。
「ごめん、くさすぎて限界。自分では何とも思わないの?」
「別に」
恋人は去り、取引先からもクレームが来た。

が、最近は猫たちがいつまでもいてくれるようになり、ペットを飼えぬアパートに住む私には良い状況になっている。
ホラー
公開:19/07/09 10:26

UKITABI

ショートショート初心者です。
作品をたくさん書けるようになりたいです。

「潮目が変わって」(プチコン 海:優秀作)
「七夕サプライズ」(七夕ショートショートコンテスト:入選)
「最高の福利厚生」(働きたい会社 ショートショートコンテスト:入選)
選出いただきました。

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