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あの夜の出来事は誰にも信じてもらえない。
終電を逃した私は、酔い覚ましに半刻程歩いて帰ると、玄関前に1匹の猫を見つけた。
我ながら気持ちの悪い猫撫で声で「おいで」と呼ぶと、寄って来たので戯れていると不意に遠ざかり、こちらを向いて「にゃあ」と鳴く。さよならかと思ったが、戻ってはまた遠ざかり「にゃあ」と鳴く。
「ついてこいって事か」
問うと「にゃあ」と鳴くので、秘密の場所への招待かも──と後について歩き出す。
私がついてきているのか、時折振り返って確認する猫の尻を追いかける事30分弱、こちらへ向き直り「にゃあ」と鳴く。
ついに到着かと顔を上げると玄関前に戻って来ていた。
呆気にとられていると、澄まし顔だった猫の口角が上がり、にやけ顔で「騙されたにゃ間抜けな人間」と馬鹿にしてきた。
突飛な出来事に呆然とする私を尻目に猫は「にゃはははー」と高笑いしながら去っていった。
悪い気はしなかった。
終電を逃した私は、酔い覚ましに半刻程歩いて帰ると、玄関前に1匹の猫を見つけた。
我ながら気持ちの悪い猫撫で声で「おいで」と呼ぶと、寄って来たので戯れていると不意に遠ざかり、こちらを向いて「にゃあ」と鳴く。さよならかと思ったが、戻ってはまた遠ざかり「にゃあ」と鳴く。
「ついてこいって事か」
問うと「にゃあ」と鳴くので、秘密の場所への招待かも──と後について歩き出す。
私がついてきているのか、時折振り返って確認する猫の尻を追いかける事30分弱、こちらへ向き直り「にゃあ」と鳴く。
ついに到着かと顔を上げると玄関前に戻って来ていた。
呆気にとられていると、澄まし顔だった猫の口角が上がり、にやけ顔で「騙されたにゃ間抜けな人間」と馬鹿にしてきた。
突飛な出来事に呆然とする私を尻目に猫は「にゃはははー」と高笑いしながら去っていった。
悪い気はしなかった。
ファンタジー
公開:19/07/09 00:13
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