「びょうき」(テルピカ町は猫びより⑫)

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「動くものに飛び付いたり、柱を引っ掻き回したり、と?」
「はい。うちの子、病気なのでしょうか?」
「おそらく。ただ、それは病ではなく、猫と書いての『びょうき』ですね」
「猫気?」
「症状が猫っぽいでしょう。今、流行っておるのです」
「治療法は?」
「病は気から、と言いますからね。自分は人間なんだ! と思わせるしかありません」
「どうすれば?」
「猫を飼うのです」
「猫……」
「しばらくは行動を共にするでしょう。しかし、いずれ自分は猫ではない事に気が付くと思います」
そんなわけで猫を飼う事となった。
先生の言う通り、最初は猫と行動を共にしていた息子。しかし、猫の生活についていけなくなったのか、ある日を境にピタッと猫気は治まった。

「ボーッと宙を見たり、こたつで丸くなったり、と?」
「はい。また猫気が再発したのではないでしょうか?」
「いやいや、奥さん。それは単なる病気ですよ。風邪、ですな」
その他
公開:19/07/07 16:16
更新:19/07/07 15:53
テルピカ町は猫びより

壬生乃サル

まったり。

2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)

壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

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