「ネイル」(テルピカ町は猫びより②)

「猫の爪？」
「隣町にオープンしたのよ。ほら」
近所に住む猫仲間が見せてくれたのは、綺麗にネイルアートが施された猫の爪。
「わっ、可愛い！」
「でしょ！　あなたもどう？」
「うちの猫はそういうの嫌がりそう」
「大丈夫。寝て起きたら終わってるから」

そんなわけで飼い猫を連れ、教えてもらったネイルサロンへ足を運んだ。
店内に入った瞬間、怪しげな香りに包まれ眠気が押し寄せた。ヤバイ店かも……と思う間もなく、私は眠りに落ちた。

「終わりましたよー」
その声に目を覚ます。店員さんが私の猫を抱いていた。爪には可愛いネイルアート。
「あ、すみません。えーと、お値段は……」
店員さんが口にした値段に、私は「ふぎゃっ」と声が出そうになった。法外な値段だ。
もう少し詳しく話を聞いておくべきだった。我ながらツメが甘い。まぁ、泣き寝入るしかないか。
うちの猫はそんな事も気にせず、気持ち良さそうに寝入っていた。