公園の番人 (テルピカ町は猫びより①)

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彼にフラれた私は、あてもなくフラフラしていた。
気付いた時には、見知らぬ公園に入り込んでいた。あたりに生えている草が風に揺れている。クサクサしている私のことをバカにしているのかしら?
無性に腹が立った私は「むしってやろうか!」と、草に手をのばした。
「ニャー」
私のてのひらに、ひょっこり現れた猫の頭がおさまった。
可愛い。私はそのまま猫を撫でた。気持ち良さそうに目を細めている。
野良猫だろうか? それにしては毛並みが整っており、人懐っこい。
猫を抱き上げてみた。嫌がる素振りも見せない。私はそのまま、ベンチに座った。
猫が私の膝の上で丸くなった。あたたかい。ポカポカ陽気も相まって、私はウトウトと眠りに沈んだ。

目を覚ますと、猫はいなくなっていた。そのかわり、膝の上に一本のエノコログサが……。
あぁ、草の正体はこれか。あの猫、私がむしろうとしたから守ったのね。やれやれ。
私は思わず、笑った。
青春
公開:19/07/07 16:16
更新:19/07/07 15:43
テルピカ町は猫びより

壬生乃サル

まったり。

2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)

壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

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