七夕ライド

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七、一画目と二画目が交わるところに足を投げ出して座り、私は本を読んでいる。

夕、そのハンモックに揺られ、彼は静かに寝入っていた。

ふと胸騒ぎ。それが何か気付き慌てる。「起きてひー君、今日七夕!」
「お、まじか。」

実のところ、七夕の日に晴れたことなんて、ここ何年もない。それに私達は大人だ。恋にうつつを抜かし、仕事をサボってたのは若かった頃。今では一緒に暮らし、天空では二人支え合い、仕事のできる夫婦と認められてる。七夕の文字はその時にお祝いで、天空から頂いた。

でもそれが日常になると、この日を忘れてしまう。

「行こうか、おりちゃん。」だけど短冊に願いを託してくれる人はたくさん。この日はお願い事を、少しだけ叶えに行く。

七夕ライドに乗り下界へ。皆寝静まった頃、暗闇に無数に輝く街灯の光。…そしたらねえ、キスの1つや2つ。願いを叶える気持ちはあるの。だけど二の次ってことはここだけの話。
公開:19/07/08 05:53
更新:19/07/08 13:25

綿津実

自然と暮らす。
題材は身近なものが多いです。

110.泡顔

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