書店

私は、近所の書店に足を運んでいた。
毎週の金曜日の仕事終わりに、書店に通うのがお決まりであった。
これといった趣味のない私にとって、唯一の楽しみが読書であり、仕事の疲れを癒やしてくれる至福である。
読むジャンルに関しての決まりはなく、ミステリーから文学まで幅広く読む性格であった。
一つの分野を熟読するのが得意ではなく、飽きやすい性格でもあったので、それが限られたジャンルに固執しない理由に反映されたのであろう。
ただし、例外もある。
たとえば、主人公が宇宙に行ったとか、巨大なモンスターが街で大暴れして逃げ惑うとか、仮想の次元で起こるフィクションだけは、何度も読んでも苦手であった。
現実に起こりえない出来事が、あたかも日常生活のように起こるというのは、明らかな作者の意図であり、伏線の効果であるのが明白だからである。