天国へ捧げるカクテル

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「マルガリータです」
置かれたグラスの小ささにガッカリした。中ジョッキ2杯分の酒がこれっぽっちか。似合わないことはするもんじゃない。
グラスの縁の白い粉は砂糖か?
わからず軽く舐めると塩だった。ちびちび飲むのもどうかと思い、一気に飲み干すと喉の辺りが熱く痺れた。
「これ、なんて酒?」
思わずバーテンダーに尋ねてしまった。
「テキーラです。度数は40%ですから、ビールの10倍ですね」
「亡くなった妻がこれを飲んでみたいって言ってたんだ」
「そうですか」
「苦いな」
「マルガリータは天国へ捧げるカクテルとも呼ばれているんです」
バーテンダーの声が遠い。
カクリとカウンターに崩れると、空になったグラスに蝶がとまっていた。

こんなとこで寝ちゃ風邪ひくわよ。

「わかってるよ」
体を揺らす手の温もりを肩が覚えていた。 
これが胡蝶の夢ならそれでいい。
お前に会えるなら、またテキーラを飲みにくるよ。
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公開:19/07/06 13:38
更新:19/07/06 21:31
スクー テキーラバタフライ

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ショートショートって難しい。
最初の頃は400字は短すぎるなんて思ってましたが、色々書くうちに400字に無限の可能性を感じるようになりました。

読んだ人の心が少しでも動いたらいいな。何かを感じてくれたらいいなと思って書いてます。

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