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「マルガリータです」
置かれたグラスの小ささにガッカリした。中ジョッキ2杯分の酒がこれっぽっちか。似合わないことはするもんじゃない。
グラスの縁の白い粉は砂糖か?
わからず軽く舐めると塩だった。ちびちび飲むのもどうかと思い、一気に飲み干すと喉の辺りが熱く痺れた。
「これ、なんて酒?」
思わずバーテンダーに尋ねてしまった。
「テキーラです。度数は40%ですから、ビールの10倍ですね」
「亡くなった妻がこれを飲んでみたいって言ってたんだ」
「そうですか」
「苦いな」
「マルガリータは天国へ捧げるカクテルとも呼ばれているんです」
バーテンダーの声が遠い。
カクリとカウンターに崩れると、空になったグラスに蝶がとまっていた。
こんなとこで寝ちゃ風邪ひくわよ。
「わかってるよ」
体を揺らす手の温もりを肩が覚えていた。
これが胡蝶の夢ならそれでいい。
お前に会えるなら、またテキーラを飲みにくるよ。
置かれたグラスの小ささにガッカリした。中ジョッキ2杯分の酒がこれっぽっちか。似合わないことはするもんじゃない。
グラスの縁の白い粉は砂糖か?
わからず軽く舐めると塩だった。ちびちび飲むのもどうかと思い、一気に飲み干すと喉の辺りが熱く痺れた。
「これ、なんて酒?」
思わずバーテンダーに尋ねてしまった。
「テキーラです。度数は40%ですから、ビールの10倍ですね」
「亡くなった妻がこれを飲んでみたいって言ってたんだ」
「そうですか」
「苦いな」
「マルガリータは天国へ捧げるカクテルとも呼ばれているんです」
バーテンダーの声が遠い。
カクリとカウンターに崩れると、空になったグラスに蝶がとまっていた。
こんなとこで寝ちゃ風邪ひくわよ。
「わかってるよ」
体を揺らす手の温もりを肩が覚えていた。
これが胡蝶の夢ならそれでいい。
お前に会えるなら、またテキーラを飲みにくるよ。
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公開:19/07/06 13:38
更新:19/07/06 21:31
更新:19/07/06 21:31
スクー
テキーラバタフライ
月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。
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