ミルクセェキに沈むから

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「甘くて甘くて温かい、ミルクセェキは如何かね?」
 星空ジュースの売店で、男が呼び込んでいた。あまりにも推してくるので、私はからかい半分に言った。
「そんなに甘くちゃ、みんな溺れてしまうでしょう」
 男は、しかし微笑みながら答える。
「皆、甘いものには溺れるもんさ。どうせなら、火傷するくらいでなきゃね」
 どうだね一杯、とお勧めしてくる男に対し、私は煙草に火を点けながら言った。
「シュノーケルを持ってたら、またね」
 男は素潜りで溺れても本望かも知れないけれど。
 女は、準備も無しに危険に飛び込んで浪漫を感じられる生き物じゃないのだから。
ファンタジー
公開:19/07/07 12:30
空想 妄想 不思議 日常

宇津木健太郎( 我楽多街 )

優しい世界の話。
遥かなる宇宙の話。
夏の陽だまりの中の話。
世界を覆い尽くす青空の話。
あなたの隣に居る私の話。

そんな、日常から宇宙の果てまで存在する、不思議で空想的な話を紡いでいきます。

時々ホラーも書くかも知れないけれど。

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