びっくり箱

3
7

「これが、伝説のびっくり箱?」
今、ひとりの勇者が、なんの変哲もない掌サイズの箱を手にしていた。
「いかにも。その箱には驚くべきモノが入っておる。窮地に立たされた時、力を貸してくれる事じゃろう」
アゴにびっしり蓄えられた白ヒゲを撫でながら、牧師の爺さんがそう言った。
「トラップモンスターじゃないでしょうね? ダマしたら、ただじゃおかないわよ!」
ヤンチャそうな魔法少女が、牧師に釘をさす。
「来るべき時が来れば、わかる事じゃ」

時は流れ、勇者たちは魔王との戦いに挑んでいた。
劣勢の中、魔法少女が勇者に「あの箱を!」と叫ぶ。
「わかった!」と勇者は箱を取り出し、蓋を開けた。
中から舌をベーッと出したヘン顔のぬいぐるみの頭が、ビョーンと飛び出した。
そう、伝説のびっくり箱とは、ただそれだけのアイテムだったのである。
「あのジジイ!!」

魔王は後に言った。
「ブチギレた魔法少女は強すぎた……」
ファンタジー
公開:19/07/07 03:33

壬生乃サル

まったり。

2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)

壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容