「短冊」

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「地の神さーん! 大変です!」

使いの者のその声に、私は目を閉じ天を仰いだ。

「例のアレ、だろ?」
「はい! 天の神さんから『手伝ってー!』とアホみたいな量の短冊が届いてます!」
「やれやれ、今年も来たか」

もう毎年恒例となっているから、今さら驚きもしない。七月七日のお約束。
天の神め、ちゃんと仕事しろ……と思いながら、短冊の山を前に深い溜め息をついた。
パラパラと、短冊に書かれている願い事に目を通す。

「いつ見ても子供たちの願いは可愛らしいものだな。それに比べ、大人たちの傲慢さには呆れるしかない」

私は一枚の短冊を手に取った。良質な紙を使った短冊。そこには、地球の平和を願った言葉が長々と書かれている。

「地球の平和、ねぇ」

こういう紙も、タダではないのだがなぁ。極端な話かもしれないが、紙が勿体ないわ。本当に人間というものは地球の資源を……。

「淡々と、ザクザク使いすぎだ」
その他
公開:19/07/07 02:07
蔵出し ねがいごと

壬生乃サル

まったり。

2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)

壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

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