マッチの精

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とあるバー。くたびれた男が、カウンターに置かれていた黄金色のマッチ箱を手に取り、グラスを磨いているマスターに声をかけた。
「これ、やけに輝いているね」
「魔法のランプをご存知ですか? それと同じようなものです」
「ほー。マッチを擦ればランプの精が出てくる、と?」
「えぇ。マッチの精が出てきます。どんな願いでも一つだけ叶えてくれますよ」
「そいつは凄い。一本擦っても良いかい?」
「どうぞ」
そういうわけで、男はマッチを擦った。
マッチ棒の先に火が点く。すると、その火が魔神化した。
『我が名は、マッチの精。さぁ、我の命の火が消えるまでに願いを一つ言うがよい。何でも願いを叶えてや……』
マッチの精は、そう言い終える間もなく、呆気なく燃え尽きた。
「わははは! 想像通りのオチじゃないか! いやぁ、久々に笑わせてもらったよ。ありがとう」

ここはバー・スモールドリーム。
小さな夢で、元気を与える店。
その他
公開:19/07/07 00:07
蔵出し ねがいごと

壬生乃サル

まったり。

2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)

壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

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