雨星
4
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小雨交じりの朝、7時07分発の列車に乗せる為、彼女を駅まで送る。
薄曇りの灰白から、フロントガラスに径0.3ミリの不規則なドットが打ち込まれ、ワイパーの間欠作動が、製図用シャープで引いた天体日周図の様な透過する銀弧を、約3秒毎に塗り広げた。
カーステレオは浮足立った歌詞を垂れ流し、安い愛だか恋だかをリピートし続けた。19分23秒平均のドライブに、推定4回聞こえたはずだが、中身はまるきり入ってこなかった。手動で切り返す都度、ワイパー一拭き分の無音が空き、エアコンが掻き混ぜる空気と融合した、甘ったるいボディーソープが鼻についた。最後のリピートを押し掛けてやめた。駅の手前の信号が赤になった。
シートベルトのパチンと、後部席のドアノブのバクン。が同時に響き、夜色のワンピースが流れた。
2秒も迷わなかった。助手席から腕を伸ばして引き戻した。
盛大なクラクションをBGMに、別れで再会のキスが降った。
薄曇りの灰白から、フロントガラスに径0.3ミリの不規則なドットが打ち込まれ、ワイパーの間欠作動が、製図用シャープで引いた天体日周図の様な透過する銀弧を、約3秒毎に塗り広げた。
カーステレオは浮足立った歌詞を垂れ流し、安い愛だか恋だかをリピートし続けた。19分23秒平均のドライブに、推定4回聞こえたはずだが、中身はまるきり入ってこなかった。手動で切り返す都度、ワイパー一拭き分の無音が空き、エアコンが掻き混ぜる空気と融合した、甘ったるいボディーソープが鼻についた。最後のリピートを押し掛けてやめた。駅の手前の信号が赤になった。
シートベルトのパチンと、後部席のドアノブのバクン。が同時に響き、夜色のワンピースが流れた。
2秒も迷わなかった。助手席から腕を伸ばして引き戻した。
盛大なクラクションをBGMに、別れで再会のキスが降った。
青春
公開:19/07/07 07:07
更新:19/07/07 00:47
更新:19/07/07 00:47
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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