２円玉

１円玉で支払うのは面倒くさい。お財布が膨らむ。そんな人々の声を聞きあげ、この度発行されるのが２円玉だ。
「見てください。この２円玉。表には大きく２と、裏面には縁起の良い富士、鷹、茄子でデザインされています」
２円玉を手に、国民へ発表する男はどこか誇らしげにみえる。
「薄手でいて、つまみやすい構造にできています。そして、金色に輝き他の硬貨と区別がつきやすいのです」
大変使う側のことをよく考えているようだ。
「２円硬貨の良いところは何より、１円玉を複数枚持たなくていいことです。お会計の際、１円単位で払おうとすれば時間がかかり、面倒くさがればどんどん１円玉が増えてしまいます。この２円硬貨はその心配が半分になる画期的なものです」

しかし、それは理論上の話。
キャッシュレスの時代。新しい硬貨を求めるのはコレクターだけだった。