お礼参り

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ある夜、アパートの扉前で猫が僕を待っていた。どこの猫だ?姿勢良くジっと僕を見上げてくる。動く気配はなく翌朝にはもういなかった。
翌日また猫がいた。二匹でじっと動かない。日を重ねると四匹に、そして八匹へと。1週間でもう数え切れない。
なぜ?1週間前、車で猫を跳ねたことを思い出す。無言の抗議に来ているのか?でもあれは避けきれなかった。
先日ニュースで獣に食われたような変死体の周りで猫毛が大量に見つかったと騒いでいた。
まさか…これは祟りなのか?
もう百を超える猫がいた。家に入れずにいると見覚えのある猫が近づいてくる。跳ねた猫だと分かり、ゾッと悪寒が走る。猫たちが一斉にニャーゴと鳴き出した。腰を抜かし震える手を合わせ、ごめんなさい許して下さい、と必死に祈る。
が、その猫は僕の手をペロリと舐め、ニャオと笑った。そして消えた。
助かった…

翌日、跳ねた猫を持ち込んだ動物病院から請求書が届いていた。
ホラー
公開:19/07/06 22:00
更新:19/07/09 03:11

Kato( 愛知県 )

ヘルシェイク矢野のことを考えてたりします
でも生粋の秦佐和子さん推しです

名作絵画ショートショートコンテスト
「探し物は北オーストリアのどこかに…」入選

働きたい会社ショートショートコンテスト
「チェアー効果」入選

ありがとうございます

 

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