ぼんちのぼん

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すた。すた。すた。
時計は朝の3時。昨日から降り続けた雨が、猫へと変わった。
白いの黒いのトラに三毛。ぼんやりと、やわらかく光る、毛糸のような猫たちが、畑の上に降っている。
夏休みのぼくは、お盆休みの両親と一緒に、おじいちゃんの家に遊びにきた。小さな山に囲まれた大きな湖のある町。盆地の夏は暑いけれど、夜のひんやりはうれしい。
スイカを食べてゴロゴロ。とうもろこしをかじってゴロゴロ。雷ゴロゴロ。雨でたくさんのゴロゴロをしたからもう目が覚めた。
早起きのおじいちゃんが、まだ暗い畑の前で、提灯を揺らして、降る猫たちを迎えている。
「にゃまんだぶにゃまんだぶ」
おじいちゃんの呟きが楽しくて、ぼくも隣で真似をした。
すると、白い仔と目が合った。おばあちゃんだ。
ぼんちのぼん。ぼんちのぼん。
そう歌いながら、いつも頭をなでてくれたおばあちゃん。
おじいちゃんが畑の中に駆け出してゆく。
明けないで。夜。
公開:19/07/05 11:35
更新:19/07/09 10:28

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