踊る電柱

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停電が起こると同時に地面が揺れる。
危険なほど揺れているわけではないが、やっぱり少し怖い。
部屋の窓から外を見ると、5本ほどの電柱が踊ったり跳ねたりしていた。
この部屋は2階だから付近の様子しか見れないけれど、本当はこの辺り一帯の電柱が踊っているそうだ。
僕は電柱たちの騒ぎを見物するのが何となく好きで、食い入るように見つめていた。
月明かりで照らされる電柱たちは、まるでちょっとしたショーのようであった。

ふと気がつくと、パパが隣に立っている。
僕は視線を外さず
「何で電柱たちは踊るんだろう」
とパパに尋ねた。
「電柱も色々抱えているものがあるんだろうよ。何せ四六時中じっとしているんだからな。こうやって2年に1回、発散するために踊っているんだと思うよ」
一拍おいてもう一言続ける。
「迷惑なもんだ......」
パパの顔を見ると、なぜだか羨ましそうでもあった。
ファンタジー
公開:19/07/05 09:11
更新:19/07/05 09:35

田坂惇一

ショートショートに魅入られて自分でも書いてみようと挑戦しています。
悪口でもちょっとした感想でも、コメントいただけると嬉しいです。

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