猫に成る

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僕は友達の家で将棋を指していた。
「『米』?」
相手の陣地で成ろうと駒を持つと、裏に見慣れない文字が書かれていた。
「アメショだな」
「何これ。どう動かすの?」
「猫は最強だ。玉以外ならご自由に」
僕は『米』で対角線上の飛車を取ってみた。
「やるなあ」
ルールに則るようだ。
他の駒にも裏に猫の種類が書かれていた。

猫に成ると後が大変だった。将棋盤から少しでも目を離すと、駒はどこかに消えてしまうのだ。さっきなんて、トイレから戻ると、王を守っていた駒が何故かタンスの上に置かれていた。
「これを置くといいよ」
僕達は将棋盤の回りに水の入ったペットボトルを並べた。

ルール上は成る必要もない。しかし。
「二ャア……」
コマの裏から寂しげな鳴き声を聞くと、どうしても成りたくなる。


そんなこんなで、駒を見失いつつも、何とか相手を追い詰めた。
「玉を取るぞ」
そう言うと、駒はブルブル震えだした。
ファンタジー
公開:19/07/05 09:07
更新:19/07/05 23:20

イチフジ( 地球 )

マイペースに書いてきます。
感想いただけると嬉しいです。

とりあえず、100話と、お気に入りにはいる作品を作ることを目標にする

78 蟹座

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