猫の宝石店

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猫の宝石店には、指輪はもちろん、あらゆるジュエリーが揃っている。

そこへ豚のマダムがやってきた。
「いらっしゃいませ」
「私にピッタリのアクセサリーあるかしら」
「なら、真珠はいかがでしょう」
猫は陳列ケースから、真珠のネックレスを取り出し、豚の首に掛けた。
「よくお似合いです」
「そうかしら、でも笑われないかしら」
猫は豚を姿見の前に立たせた。
「豚に真珠が似合うんだって、見返してやりましょうよ、ねっ」
「そうよね。じゃあ、いただくわ」
「ありがとうございます」
猫は丁寧にネックレスを包装した。
「マダム、お支払いは」
「小判で」
猫は豚から小判を受け取ると、豚を見送った。

閉店後、猫は売り上げから集めた小判を使って、ペンダントを作り始めた。
「これでみんなを驚かせてやるんだ。猫には小判が似合うってね」

その朝、広告を見た猫たちが開店前から行列を作っていた。
ファンタジー
公開:19/07/06 02:23

豊丸晃生( 大阪 )

ショートショートの神様、星 新一を崇拝しています。お笑い好きで怪談も好き。
お笑いネタのような作品が多いですね(笑)
【受賞作品】
「渋谷シティ」
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞受賞。
「我が家の食卓」
ベルモニーショートショートコンテスト入賞。
「電車家族」
隕石家族ショートショートコンテスト入賞。
「大男の力自慢大会」
「スカイフィッシング」
空想競技2020ショートショートコンテストW入賞。

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