やみやみ

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「忘れ物したから取りに行ってきて」
旦那に頼まれた私は、すごく嫌だったが渋々車庫に向かった。
夜の車庫は嫌いだ。暗く狭い密室にはむせ返る闇がある。私はすぐに車のロックを解除した。車内のライトがついて明るくなるが、それは闇を一層濃く際立たせた。
悪寒を覚えながらも狭い車庫に身をよじらせて車内に入る。車体の下や、後部座席の下の陰に何かいるんじゃないかと恐怖の妄想が頭いっぱいに広がった。
「あった!」
目当てのものを見つけて私はほっとする。早く車庫から出て、旦那のいる部屋に戻りたい。再び身をよじらせて、車から出た。ふと、車庫の壁の照明スイッチが目に入った。
(なんだ、明かりをつければいいんじゃない)
今更気づいたことに呆れながらも指で這わせて、カチリと押した。
無機質な光が車庫に充ちる。壁に蔓延る黒い肉。咀嚼中の顎。白い目玉がこちらを見ていた。
私は見なかったことにしたけど、多分まだ車庫にいる。
ホラー
公開:19/07/06 00:44
更新:19/07/06 08:27

風月堂( 札幌 )

400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw
いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。

無料の電子書籍をつくりました。
『ショートショート作品集カプセルホテル【】SPACE』
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『枇杷の独り言』
ショートショートコンテスト『家族』最優秀賞頂きました。

写真は全て自前でやっています(笑)

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