相合傘廃人

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相合傘廃人?
その称号は不本意だな。モテない男子のヒガミだろ。
相合傘のために気象予報士の資格を取ったのは本当さ。僕は毎朝、雨量や風速を予想して最適な傘を選んでる。今日紺色の傘を選んだのは君に誠実さをアピールするためさ。後ろから声を掛けたことや、右手で傘を持って左側から話してるのは、警戒心を解くためのナンパのテクニックだよ。
どうしてそこまでと言われても、もう忘れたよ。最初は憧れだった。今は惰性かな。相合傘マスターとして、無意識に最適解を選んでしまうんだ。
それでも辞めないのは、さしかけた傘に女子が入った時の達成感を味わいたいからなんだろうね。その瞬間だけが生きてると実感できる。
でもそこがピーク。相合傘をして歩きながら、まだ相合傘をしたことがない別の女子のことを考えてしまう。今度はどんな傘で、どんな風に声を掛けようかってね。

つまり僕は今、君に興味を失っているんだ。
だから、ごめんね。
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公開:19/07/05 23:17
更新:19/07/05 23:17
スクー

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

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